スローファッション(Slow Fashion)という言葉をご存じでしょうか?ファストファッション(Fast Fashion)への批判的な視点から、2000年代にイギリスのケイト・フレッチャー(Kate Fletcher)氏が、著書「循環するファッション」の中で提唱しました。
ファストファッションは、流行を素早く商品化し、低価格で大量販売するビジネスモデルです。消費者は手頃な価格で流行を楽しめる一方、生産過程での環境負荷や労働問題、衣類廃棄物の増加が指摘されています。スローファッションは、このような課題への対抗概念として生まれました。スローファッションは、まず、その名の通り「長く着る」ことを重視します。流行に左右されにくいデザイン、丈夫な素材・品質を選び、そして、修理しながら使い続けることがすすめられています。また、衣類の生産についても、誰が、どこで、どのような条件で作ったのかを明らかにし、消費者が適正に選ぶことで、労働環境を公正なものにすることを目指していきます。
2013年、バングラデシュのダッカ近郊にあったラナプラザビルが崩壊し、多くの死傷者をだしました。ラナプラザには縫製工場が多数入っており、低賃金かつ過酷な労働環境であったといわれています。「安く、早く」というファストファッションの犠牲となっていたと多くのメディアで取り上げられ、アパレル業界の変化のきっかけとなりました。
ほかにも、スローファッションが目指すのは、有機繊維やリサイクル素材の利用、輸送距離の短縮、廃棄物削減、環境問題への配慮などです。スローファッションは単なる消費行動ではなく、環境倫理、持続可能なデザイン、地域経済、クラフト文化の保全を含む社会運動として位置づけられています。流行を追い求めた格好良さよりも、新しい基準の格好良さを「スローファッション」は勧めています。
刺繍作家・お洋服のリペア人気講師/会員こうのなおさん
https://nacco-broderie.shopinfo.jp
※この記事は、こうのなおさんが「見える繕い」で連載中のコラムを、ご本人の許可をいただきツカジダのサイトにもゲスト掲載させていただいているものです。
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